減価償却、固定資産を買った時の支出を一定期間にわたって費用として計上する手続です。割と特有な手続なので、資金管理上、業績管理上、気をつけたいことがあります。今回はそんなことをば。
まずは、資金管理の罠の話から。減価償却は非資金性費用と言われます。つまり、減価償却を計上する時は、支出は発生しないので、その分、利益の額に加えて減価償却の分だけの資金が会社の中に蓄積すると。
ただ、この資金を借り入れの返済や運転資金につかっていいか、、というとそんなことをありません。結局、固定資産は使っているうちに劣化し、どこかで買い替えないといけない。減価償却がその資金源になるので、その企業内に確保しておかないと取替更新ができなくなってしまいます。
もう一つは、限度額未満減価償却の罠。税法上、減価償却費は損金算入限度額まで費用として計上したことを条件に損金にできます。逆に、費用処理せず、翌期に回してしまうこともできます。
とすると、赤字決算で銀行に決算書をもっていけない、とか、欠損金がたくさんあって、使い切れずにいる、となると「じゃあ、減価償却は今期は見送りましょう。」となります。
確かに、それは仕方ないし、減価償却費の計上を翌期に持ち越しても損金にはなるので、やってもいいか、、という気持ちになるかと思います。でも、本来、固定資産を使っているにもかかわらず、その分の費用が計上されない、となると、決算書が歪んでしまう、と考えます。
3つ目は定率法の罠。定率法という方法をとると、購入初期に減価償却費の額が大きくなり徐々に低減していきます。となると、税金計算上は、定率法をとると有利になります。
ですがですが、実は多額な固定資産をどんっ、とかって、それだけを長く使い続けると業績評価上問題が生じます。そうなると、初期の頃の減価償却費は非常に多額になり、相当程度の赤字が出ることがあります。後になると、減価償却費の計上は減るので、その分、利益が増えます。固定資産の額が多額過ぎると、減価償却の変動も大きく、実態はあまり変わっていないのに、業績数値が変動してしまう、、、という、悪影響が発生してしまいます。それを防ぐには、定額法がいいのですが、税務上や継続性の観点からはほいほいと変えられないですよね。
というわけで、減価償却は結構特有の問題点を考えてみました。この辺を意識して資金管理、業績管理をしてみると、いいのかなと。