長い間、インドは統一的なGST (Goods and Service Tax) 制度がありませんでした。それが、今年の7月1日にいよいよGSTが導入された、ということです。この歴史的な事態に国民はどう対応したのでしょうか?
インドGST導入初日の混乱
2017年7月1日、インドでGSTが導入されました(日本の消費税のようなもの。GSTの仕組みについては後述)。インドのモディ首相は、この大きな税制改革が長い期間にわたりインドに大きな経済的な成果をもたらす、と買う確信を持った態度でいます。
従前は、インドでは、各州それぞれ、間接税の制度を持っていました。それが、非常に煩雑で特に州をまたぐ取引については特に調整が必要となります。そのため、州境を超えるトラックドライバーが税金の申告のため、長い列を作っていた、ということがあります。それを解消はGSTを導入した大きな理由の一つです。
とはいえ、新しい税金を導入した当初はやっぱり、混乱があります。混乱を大きくしているのは物品やサービスによってGSTのレートが異なること。日本だと、物品やサービスの種類によらず8%と税率は一定ですが、インドの場合は、5%、12%、18%、28%と4つの税率があります。石鹸やチーズやお茶は比較的安く、チョコやチューイングガム、それに電化製品などは高くなります。現場では具体的にどの物品やサービスがどの税率になるか、判別に苦しんでいる、といわれています。この混乱はあと、1から2週間続くというだろうと見られています。
その他、反対派の議員はセレモニーをボイコットしたり、小売店はGSTの導入に伴いセールを行うなど、GSTに絡んで、色々な動きがあるところであり、まだまだ、目は離せない、状況にあるようです。
親記事リンク:confusion for some on the first day of indias GST
GSTの仕組み
ここで、言っているGSTはなんなんだー、という感じですが、日本でいう消費税に近いです。GST、略さずにはGoods and Service Tax、訳すと商品、及び、サービス税、となります。つまり、物品やサービスの価格に税率が適用されて税額が計算されます。また、納税義務は消費者ではなく事業者にあり、事業者は受け取った売上げにかかるGSTと仕入れにかかるGSTを相殺して税務当局に納めます。結局、事業者が納付する税額は売上から仕入を差し引いた付加価値についてかかるので、付加価値税(Value Added Tax)とよばれることもあります。
もちろん、日本ではないので、ところどころ制度は異なります。一番大きいのは、税率が物品、サービスによって異なること。日本だと、8%という単一税率ですが、インドは4つ税率がありましたよね。それと、原則として毎月GSTの申告が必要、というところ。それと、仕入れにかかる税額が売上のそれより大きい場合であっても還付はない、こともあります。あとは、インボイス方式を採用しているのも日本とは異なることかしら。この、複数税率やインボイス方式は将来的にも日本でも導入されることが見込まれているので、そういう意味では先進的な税制といえるかもしれません。
このように、インドにおいてもGSTが導入されました。結構、混乱はあるようですが、従前の地方ごとに複雑に入り組んだ税制から、全国統一的な税制になったほうが、税務が簡素になり経済にもいい影響を与えるのではないか、そんなような気がしています。