国際的租税回避、これは、自国の資産を他国に移動する等の手段により、国家間の壁を利用して租税回避(もしくは脱税)を図る行為です。こういったことがされると、自国の税収が減ってしまい、国としては困ってしまうのでなんらかの対策を立てることになります。これは、国際的な動向で多くの国で取り組みがなされていますが、今回はインドネシアのケースで考えてみます。
記事の要約
インドネシアは政府はOECD (経済協力開発機構)が主導するAutomatic Exchange of Information (AEOI, 非居住者にかかる金融口座情報の自動交換)を適用すべく、大統領令に代わり法律を承認した。それにより、不正に蓄財された数百億ドルもの資金の情報を入手し、補足するための次の段階に進もうとしている。特にシンガポール、香港の法の下の資産の情報にもアクセスできるので、それにより、税収を増加することができる。
また、タックスアムネスティにより、4,910億シンガポールドルより多くの資産が発見されたが、財務大臣のスリムルヤニインドラワティはこのAEOIのフレームワークによりさらに189億シンガポールドル相当の税収を増やすことができるだろうと見込んでいる。
インドネシア政府は効率的に税金を回収できずにおり、インフラを強化するためにはより多くの税収を確保する必要がある。シンガポール政府も協定書にサインをしたことにより、インドネシアとAEOIを行うための準備はできているとしている。
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国際租税回避の防止策というのは?
国際租税回避、これは、国家間の制度の違いや境界を利用し、税金を不公正に安くしようとすることです。色々と手法があるのですが、ここで問題視されているのは、脱税等により蓄財した資金を海外に流出し、そこで保管させてしまうことです。税務当局の権限は結構強いので、同一国内にあれば、割と容易にその存在をつかんだりすることができます。他方、海外に流出させると、その資金はもう、違う政府の管理下に置かれるので、当該国の税務当局だと手出しが難しくなります。
ここで、出てくるのがAEOI。これは、その国に居住する外国人の口座情報を交換するという協定。具体的には、日本とシンガポールの間でこの協定を結んだときに、日本にいるシンガポール人の口座情報を収集しそれをシンガポールの当局に提供し、それをもとに、シンガポール政府はシンガポール人の持つ日本の口座情報を脱税等の調査に活かそう、ということです。もちろん、シンガポールから日本へ、という情報の流れもあります。こうなると、各国政府において海外に財産を置いている住民の調査を行うことが容易になります。
あと、タックスアムネスティ、というのは、税務恩赦などといい、海外に財産を持つ人が一定の期間内に報告すれば、一定率の手数料はとるものの、それ以上のところは問わない、という制度のようです。これだと、不正に蓄財した人でも、このタイミングで報告すれば、罰則的な物が緩和されるので、期間内に報告しておこう、というインセンティブが働きます。
このように、国家間をまたぐ租税回避については、各国が協調して、その対策が立案実施されつつある、というのが現状のようです。