ストレーツタイムズからアジアをのぞく(1)~シンガポールで次に上がる税金はなにか

従前までは、「アルジャジーラから世界をのぞく」という連載をしていたのですが、今回からストレーツタイムズに変えることにします。変えた経緯は別の機会にすることにして、今回はシンガポールにおける税金問題を考えてみましょう。前段は記事の要約、後段は解説等を書くようにします。

次にはどの税金が上がる?

日本を含めどこの世界でもそうですが、財政的な困難さに直面しているようです。そのうちの主な要因は、やはり、高齢化とインフラの整備。それらの支出に備えるため税収をあげないといけない、という議論になっています。

では、どの税金をあげるか。この記事では、個人所得税(personal income tax, 日本でいうところの所得税)、法人所得税(corporate income tax, 日本でいうところの法人税)、財サービス税(GST, 日本でいうところの消費税)の3つの税目について、それぞれアナリストがどの税金がどうなるか、という予測を立てています。

まず、法人所得税、法人所得税をあげると国際的競争力が下がるので、これはあがらないのではないか。むしろ、下がっていく方向になっていくのではないか。つぎに、個人所得税、これはシンガポールも日本と同じく累進税率をとっているのですが、その最高税率がは徐々にあがっていくのではないか。その走りとして、2017年度から20%から22%になったと。最後にGST。今の税率である7%からはあがるだろう。とはいえ、2020年まではあがらず、その前にe-commerceに対する課税や少額輸入GSTの免除規定をはずすといった反発が少なさそうなところからてがつくだろう。という予測になっています。

親記事リンク:http://www.straitstimes.com/opinion/gst-personal-income-or-corporate-tax-hike-next

日本との比較

実は、ここで述べられている議論、日本での税金の上げ方と少し似ています。

まず、法人税。国際競争力をあげる、という観点から法人税率はどんどん下がっています。以前は30%だったのが、今では23.4%とどんどんさがっています(http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/082.htm)。国際競争力云々というのは、法人税率をあげると税負担を売上価格に転嫁するので、それに伴い売却価格があがり輸出が伸び悩むということです。

消費税については、国際競争力という議論はなく、また、税収の大幅増が見込まれます。そのため、8%から10%にあげよう、、という動きはあるものの、やはり国民生活に直結するため、国民の反発が大きくなかなかあげられない。その状況は日本もシンガポールもあまり変わらないようです。

法人税、消費税は似たような推移ですが、少し論調が異なるのが、所得税。シンガポールにおける累進税率の最高税率は22%です。日本の最高税率は45%であるため2倍以上の開きがあります。シンガポールの税率は周辺諸国と比べても低く、より一層、税率はあがるのではないか、と見込まれています。逆に日本だと、もう少し下がるんじゃないかな、、、とも言われており、所得税については注意が必要じゃないか、というところです。

どこの国でも社会保障や高齢化等で財政がひっ迫します。その財源をどこに求めるかが、むずかしい所であり、色々な議論があるところです。

 

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