組織を構築することにあたって、留意したいこと、もちろんいくつもあります。そのうちの一つが、悪い報告ほど早く報告されるようにすること、です。これについて少し考えてみましょう。
悪い報告が上がりにくいメカニズム
悪い報告が上がらない、ということについては、報告をする側/報告を受ける側のそれぞれに問題があります。
まず、する側の問題として、抱え込んでしまうこと。怒られることを恐れてしまったり、プライドが許さなかったり、軽く考えてしまう、というようなことがあります。こうすることにより、悪い報告は担当者のところにとどまってしまいます。
また、受ける側の問題としては、報告したときに担当者を怒ったり、問い詰めてしまったりすること。担当者は上司の叱責を恐れるあまりつい報告することを怠ってしまいます。
悪い報告が上がらないと
悪い報告が上がらない場合、適切な対応をすることが難しくなります。もちろん、担当者の努力により状況を改善することはあります。ところが、担当者の努力により状況が改善できない場合、事態はどんどん、どんどん、悪化することになります。こうなると、上司や周囲の人が気づいた時には大火事となっていて、解決するのに途方もない労力がかかってしまいます。
こうならないようにするために、組織として悪い報告が迅速にあがるようにするようになります。
悪い報告が上がるようにするためには
まず、悪い報告を迅速にしたことについては一定の評価をし、報告を怠った場合には罰する、ということをすることが必要です。報告した内容、については、怒りたくなるようなこともあるでしょうし、実際に叱責/処分すべきこともあるでしょう。ですが、それはそれとして、悪い報告をしたことについてはきちんと評価すること、このことにより、悪い報告が上がりやすくなります。
次に、担当者を複数置くこと。そうすると、Aさんからは報告があがらなくても、Bさんから報告があがる、ということも可能です。たとえば、ソフトウェアの開発、ということを考えた場合、開発担当者がクライアントの第一窓口となりますが、その他、営業担当者もクライアントとのコミュニケーションルートを作っておくことが考えられます。この場合、開発担当者とクライアントの間がまずくなり開発担当者が抱え込んでしまった場合であっても、営業担当者から適切な部署に報告があがる、ということもあります。
上司としては、フレンドリーな態度を維持し、部下の作業の内容を把握することです。上司が気軽に「今、どんな感じ?」とか聞くと意外と「実は、こんなことが、、。」ということを言いやすくなります。部下にまかせっぱなしではなく、部下の業務にはある程度の目配りをすべきでしょう。ただ、検査的にやろうとすると部下が身を守ってしまうのでそこは気を付けましょう。
最後に、これが一番有効ですが、組織内に悪い報告を迅速に行うことはいいことだ、、という価値を作ること。そうすれば、報告をする人にとってはその価値観に基づき行うことになるので、早く報告が上がることになります。
まとめ
悪い報告をすることは、する側にとっては勇気がいることなのでなかなかされにくい面があります。ただ、悪い報告がなされないと、どんどんと状況が悪化してしまうこともありえます。そのため、組織としてどのように悪い報告を拾い上げるか、仕組みを作る必要があります。