会計と税務、この2つ、本来は別個のものですが、実は密接に関係しています。今回はそんなことについてふれてみます。
目的が異なる
財務会計と税務は目的が異なります。財務会計は企業の経営成績、財政状態を把握することを目的としています。他方、税務は税金計算をすることが目的です。特に、法人税は企業の利益(厳密には課税所得、といいます)をもとに税金を計算するため財務会計と似通ったところはありますが、目的が異なるため計算方法は異なってきます。
税金は財務会計の対象となる
企業が支払う税金、これは財務会計の対象となります。つまり、法人税、消費税、固定資産税、所得税がそれぞれ損益計算書や貸借対照表に計上されます。例えば、法人税であれば、法人税等、法人税等調整額が損益計算書に、未払法人税、繰延税金資産が貸借対照表に計上されるようになります。そのため、財務会計を適切に行うためにはある程度の税金の知識は欠かせません。
法人税は会計上の利益をもとに計算される
法人税は企業の利益をもとに計算されます。先にあげたように、財務会計と税金計算は目的が異なるため、所々で計算が異なってきます。ただ、概ねは同じように計算されるため、会計上の利益に財務会計と税務の相違点を調整し、課税所得を計算します。この課税所得に税率を乗じることにより計算されるわけです。
税務上の取り扱いが財務会計に持ち込まれる
実務上、法人税上の取り扱いが財務会計に持ち込まれることがあります。厳密にいうと、財務会計と法人税の取り扱いは異なるため、違う計算方法が適用されます。ただ、相違点が多すぎると調整が多くなりすぎるので、時として税務上の取り扱いが財務会計に適用されることもあります。例えば、耐用年数の決定に際しては、財務会計上は固定資産の利用可能年数を見積もってそれで計算することが必要です。しかし、法人税法上の耐用年数表に即して財務会計における耐用年数が決められることが多いです。このように、財務会計に法人税のルールが持ち込まれることがあります。
ただし、無制限に認められているわけではなく、個々の状況次第ということ、ご留意ください。
まとめ
財務会計と税務(特に法人税)は密接に関係しています。そのため、財務会計を勉強するにあたっては、税務の知識を学ぶ必要があります。特に法人税はある程度ルールをおさえることが要求されます。