会計事務所の特徴として、割と、一つか二つといったごく少数の、会計システムの利用にこだわるところがあります。一般の会社の人にとっては、会計事務所は会計のエキスパートなので、たくさんのシステムについて理解があってもいいのでは、、。そんな疑問に今回はお答えします。
少数の会計システムを使いこなした方が、効率的だからです。10関与先がいて、全てが違う会計システムだとそれはそれは大変です。確かに仕訳や会計処理の考え方等等共通しているところはあります。とはいえ、それぞれのシステムで入力方法、画面、機能、アウトプットは結構違っていたりするので、それをそれぞれ覚えていくのは非常に大変なのです。イメージとして、Mac PCとWindows PC、同じPCでキーボードの配列も似ているのですが、やっぱり、微妙な違いがあり、両方使いこなすのは難しいべ、という感じでしょうか。
また、会計事務所の職員は、会計システムのことを深く理解しないといけません。それぞれの関与先の業務や状況は違うので、理解しておかないといけない、勘定科目や処理が多岐にわたります。また、会計システムには、業績管理に役立つ機能や、入力を容易にする機能等があり、それも理解して適宜提案していく必要があります。また、関与先に教えたり、場合によっては自分自身で仕訳を入力することも求められる。という感じで、かなり深くまで理解が求められます。
あとは、税理士一人、とかだと、自分の努力でなんとかなりますが、従業員を抱えているところはもっと大変です。いくつもシステムを使うと負担がかかったり、今まで使っていたシステムを変えるのはかなり難色を示されたりもします。経理もそうですよね。
とはいえ、一つのもしくは少数のシステムに依存するのも怖い面があります。それは、自分たちが使っている会計システムがマーケットから没落している場合。そうなると、自分たちのマーケットがどんどん小さくなります。ヘタをすると、小さいパイをたくさんの会計事務所で争う、ということにもなります。
これは、イノベーションジレンマと言ってもいいでしょう。画期的な会計システムができたとして、マーケットに認知されてきたとしても、自分たちが使っているシステムと競合するので、老舗の会計事務所だとそれを取り入れるのは難しい。逆に、新興の会計事務所で色がついていない場合の方が、新しいシステムを使い、やがて老舗の会計事務所は古い会計システムとともに滅びていく、、ということにもなりかねません。
ということで、会計事務所が少数のシステムにこだわる理由とその悩みを考えてみました。特に、古いシステムを使っている会計事務所はそれにどう対応するか、考えていく必要があります。