利益を得ることは会社(特に中小企業)にとって目的ではなく手段であるよ

「国境を超える会計人のブログ」といいつつ、あまり、会計のことは書いていませんでしたので、たまには書いてみることにします。とはいえ、技術論的な話ではなく若干哲学的な話にはなりますが。今回は、利益は会社にとってなんなのか、ということです。

経済学やファイナンスの理論において、「企業の目的は利益を最大にすることである。」といわれることがあります。確かに、上場企業であれば利益の金額や配当の多寡により評価される、ということがあるので、そういった意味では利益の極大化、ということは、ある意味あてはまることでしょう。

とはいえ、会社の本来的な目的は果たして利益を得ることなのか、というと、それは首をかしげざるをえません。そもそも、その企業がもつべき社会的意義や目的があるはずです。また、作った人、つまり社長や創業メンバーの個人的な夢や想いがあり、それを乗せるための乗り物として会社を作った、ということがあるはずです。例えば、個人でカフェをオープンした場合、そこにはおいしいものを提供しひとがくつろげる空間を作る、という意義や、料理で人を喜ばせたい、という店主の夢や想いがあるはずです。

また、利益の極大化、というのみを意識しすぎると、その他の点がおろそかになる、というところも難点です。そこからでてくるのが、環境問題であったり、ブラック企業であったり、下請けいじめであったり、これは利益を出来る限り確保し、他には流さない、という、どちらかというとあまり良くない思考からでてきます。

とはいえ、利益が必要ないか、というとそうではありません。会社はその得た利益をもとに、会社に対する次の投資に利用したり、借金を返したりします。また、利益が足りなくなると、人件費やその他経費の支払いもできなくなるようになり、また、社長自身の生活費も窮する、といったことが起こるかもしれません。そのため、会社の維持及び発展のためにある程度の利益を得ておく、ということは必要なことです。

まとめると、会社にとって利益というのは維持発展のために必要なものであります。とはいえ、それが究極的な目的であるとは、決していうことはできないでしょう。この関係、個人にとってお金は必要だが目的ではない、ということと結構似ていると思います。

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