会計学とその近接領域 (15) ~ ファイナンスにおける基礎概念

会計学とその近接領域、15回目となる今回も引き続きファイナンスをとりあげていきます。今回は、ファイナンスを考えるにあたり基礎となる概念である、将来のキャッシュフロー、時間価値、確率を紹介します。

将来のキャッシュフロー

ファイナンスにおける評価基準として、将来のキャッシュフローがあります。つまり、投資案件等の評価において、どの程度将来のキャッシュフローが獲得できるか見積もって、その多寡により案件の優劣を決めていきます。

ここでのポイントはキャッシュフローという定量的な側面に注目して評価を行う、ということであり、定性的な側面は考慮しないというところでしょう。もちろん、定性的な側面についてはファイナンスという枠組みの外で行われることになります。

また、将来ということも重要で、過去においてどうだったかということは理論上考慮はしません。ただ、実務上は、将来を見積もるにあたっては過去の実績を見るので、結局は過去も考慮する、といえば考慮します。

時間価値

ファイナンス、割と長期的な時間軸を対象とします。そのため、現在価値ということを考慮します。現在価値とは、未来のキャッシュフローを現在のキャッシュフローに置き換えることです、

例えば、1年後の1,000円と今の1,000円ど比べた場合、今の1,000円のほうが価値がある、ということです。つまり、今1,000円持っていればその分運用ができるので、1年後には1,000円より大きくなっていることを指します。そこで、1年後のキャッシュフローを特定の利率で割り返すことにより、現時点に引き直した場合、いくらになるか考慮します。例えば、今年5%の利率で資金を運用できる場合、1年後1,000円の現在価値は1,000÷(1+0.05)=952.3円となります。

このように、将来のキャッシュフローを運用利率を用いて現在の価値に置き換えることにより、ファイナンスに評価に、時間の流れによる影響を反映させることができます。

確率

ファイナンス、将来のキャッシュフローを対象とします。とはいえ、将来になにが起こるのか、ということについて確実に予測することはできません。そのため、確率、という考え方を用いて将来のキャッシュフローや利率を予測します。例えば、とある投資案件について、それぞれのシナリオにおけるキャッシュフローと、シナリオの発生確率を見積もり、期待値をとって、その期待値に基づき、案件の評価を行うということがあります。将来、なかなか、見通せないために、確率を使います。

ファイナンスの領域が高度になればなるほど複雑な確率の考え方を使うようです。ただ、基礎的な議論ではそれほど複雑な確率の考え方は登場しないので、あまり気にしすぎることはないと思います。

まとめ

ファイナンスは将来のキャッシュフローを評価基準とします。ただ、時間的な幅が大きいため現在価値という概念により、将来のキャッシュフローを現時点におけるキャッシュフローに引き直します。また、将来のことであるため、確率という概念により、アプローチをしていきます。

 

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