ストレーツタイムズからアジアをのぞく(11)~マレーシアで増えるイスラム神学校

イスラム教、日本ではあまり知られておらず、ISISのからみもあり、いいイメージを持っていない人も多いと思います。まあ、日本生まれの日本人だと、なかなかイスラム教にふれる機会もないですしね。とはいえ、イスラム教の国では最近神学校が見直されているようで、そんなことをここではとりあげてみます。

記事の要約

マレーシアにおいて、過去6年間の間に、900以上の私立のイスラム神学校が新設されました。現在、だいたい1,200以上の神学校があり、そのうちの670は当局に登録されていない、という感じ。神学校の、呼称は、tahfiz、意味としては暗記という意味があります。ここからわかるように、ここでの内容はコーランの内容を覚えることに重きが置かれています。tahfizは私立の学校なので、授業料を徴収します。

背景として、社会的に宗教教育を重んじるようになったことがあります。特に、tahfizにいった子供は、より礼儀正しく、従順で、宗教的な義務を履行するようになる、ということもあります。政府としても、積極的に財政的にtahfizにおける教育を支援していく、という方針をとっているようです。

課題としては、学校によって教育のレベルがまちまちなこと。前述のように当局に登録していない学校も多く、そういうところは財政支援を受けれない、ということもあります。また、公教育と必ずしも整合していないので、SPMとよばれる高校以上の教育を受けるための認証には対応していないところもあります。そうした場合、別途、SPMについては対応しないといけません。最後は、テロの温床になる可能性がある、と言われていること。とはいえ、かならずしも、tahfizに行ったからテロとつながる、、というわけではないようです。

このような課題もありつつも、マレーシアにおいてイスラム神学校の影響は大きくなっているようです。

親記事リンク:private islamic schools mushrooming in malaysia

そもそもイスラム教とは

イスラム教とは、コーランを聖典とし、ムハンマドを預言者とする、一神教である、というように定義されます。一神教、ということで、ユダヤ教、キリスト教徒同じ系譜です。つまり、この3つの宗教、根は同様としています。ただ、イスラム教の立場としては、今までの聖典(旧約聖書や新約聖書)や預言者は不完全なものだ、という立場をとっています。

イスラム教徒が行うべき事項を五行(信仰告白、礼拝、喜捨、断食、巡礼)、信じるべき事項として六信(神、天使、コーラン、預言者、来世、定命)となります。その他、コーランには宗教上、信者が従うべきことが、結構、記載してあり、行為規範としての性質を持っています。

イスラム教と社会とのかかわりとして、教義上、政教一致を原則とします。つまり、宗教的指導者が現世の社会の統治をおこないます。そのため、コーランはその国の最高法規(憲法)となるのが本来的な考え方です。イスラム学者というと、イスラム教の世界では、宗教学、のみならず、法学の雰囲気を持ちます。コーラン自体は1,000年以上前に書かれたものなので、そこを解釈して現代にあてはめていく、ということが必要となりその役割を進学者が担います。とはいえ、最近の民主主義の流れとの調和により、政教分離しているイスラム教の国も増えてはいるのですが。

こんな感じで解説を書いていくと、この章は終わらなくなってしまうので、今日のところはこの辺までで。詳細を知りたい方は、一冊解説書を手に取ってみるといいでしょう。私は以下の本で勉強しましたが、若干、古いかもしれません。最近であれば、おそらく池上彰さんがなにがしかの解説書を書いていると思うので、そちらを参照してみるといいのでは。

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