内部留保課税について考えてみた

企業が今まで蓄積した利益にたいして課税する、という、内部留保課税、というのが、最近脚光を浴びています。ここで、その問題とメリットについて考えてみました。

まず、一つ目の問題としては、二重課税ということがあります。つまり、企業があげる利益に対しては法人税(厳密にいうと個人事業の場合は所得税)というものがかかります。その法人税が差し引かれた後の利益の集積が内部留保です。その内部留保に対して課税する、というのは、企業の得た利益に対して2回税金が課されることになります。

もう一つの問題としては、納税資金の確保。内部留保がある、と言っても、必ずしもそれに対応する現金預金があるわけではありません。例えば、売掛金や未収金のように債権になっていたり、在庫になっていたり、設備や建物といった固定資産になっていたりします。つまり、内部留保で課税されても必ずしも現金預金がないために、納税できるとは限らないわけです。

他方、メリットもあります。一つは、利益の再分配。内部留保がたくさんある、ということは、その分、利益を上げているということになります。なので、利益を上げていてそれを蓄積しているという企業からお金を取り上げて、それを社会のために使う、ということは、一定の合理性があります。

もう一つは、これは内部留保課税の本来的な目的でもあるのですが、お金の流れを作る。内部留保されていると、結局、お金がその企業に蓄積して、社会的に活用されなくなります。内部留保課税があるとそれを厭った企業は、配当なり、給料なり、投資なりにお金を使うようなります。それに伴い、社会にお金が流れ、そこから経済活動が活発になりわけです。

ということで、じゃあ、どうしたらいいか。内部留保課税は賛成だけど、対象は絞るべき。まずは、上場会社だけ、でしょうね。上場会社は公的な性質があるので、あまり、内部留保を溜め込むべきではなくきちんと分配していくべき、と思います。また、内部留保の金額の金額だけではなく、現金預金の金額にも勘案し、納税資金があるところからとる、ということもあると思います。

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