ダブルバインド、日本語では二重拘束と言います。要は、矛盾する要求があって、そこに対してどう対応したらいいかわからなくなってしまう、ということです。ダブルバインドは親子関係を論じるのに使われますが、会社組織の中でもありますよね。今回は、そんなことをば。
別の言葉でいうと、建前と本音みたいなことです。例えば、口では働き方改革とか残業を減らすとか言いながら、実際に定時で帰ったり有給を取ったりすると嫌な顔をしたり時として叱責されたりとかするようなことありますよね。ダブルバインドには、言語の中で、もしくは言語と非言語の間で矛盾が生じることがあり、どちらも対応に困ります。
なぜ、こういうことが起こってしまうかというと、社長の心がそもそも、矛盾しているから。もっと具体的にいうと、社長という立場上、綺麗事を言いたくなってしまうのです。従業員第一とか社会的意義を追求しようとか。でも内心は、ガリガリと遅くまで働いて欲しい、とか、あまり休まれるとちょっと、とか、儲かってなんぼでしょ、とか、思ってしまう。あとは、残業しないといけないだけの仕事が割り振られる、ということもそうでしょう。そういった感情が言動や行動にあらわれてしまうわけです。
そんな中、真面目に対応したり、あと、言動を信じたりすると、精神的に結構疲弊してしまう、となってしまいます。
対処法は、いくつかあって、会社員としての身の処し方としては、建前と本音には建前と本音で対応する、ということになります。建前は建前として立つつ、本音は本音として立てることです。と言っても難しいですけどね。別の言い方だと、建前を見抜き本音に合わせて行動する、ということです。ただ、この場合、えてして、残業を付けずに仕事をする、みたいなコンプライアンス違反みたいな話になりがちなので注意必要ですが。
あまりにもダブルバインドが著しい場合は、その組織から抜ける、ということも選択肢としては出てきます。建前と本音で回避できる程度であればいいのですが、それが著しくなるとそれでは対処できない場合も出てきますので。
あと、社長やリーダーのように、権限がある人にやって欲しいのが、ダブルバインドの根絶です。社長の感情や会社の状況では、相矛盾する要求は出てきます。それをそのまま下に押し付けるとダブルバインドになってしまうので、矛盾しないように調整してからおろします。例えば、働き方改革を訴えるなら一貫した方針を立てて、その中に残業や有給、効率化、分担なんかを折り込み全体として機能するようにする、とか。ダブルバインド的な状況はなくすと会社としてはスッキリするし、働きやすくなります。
ということで、ダブルバインド的な状況について考えてみました。やっぱり、存在すると結構苦しいので、これは解消したいものです。