海外は本当に危険か?~海外旅行に出かけることに躊躇している人のために

海外旅行をしよう、と思ったときでも、「海外、危険だからなー、」と思い、つい見送ってしまうこと、ありませんか。もちろん、けっして危険ではない、とは言うつもりはありませんが、対処法はないわけではない、と考えています。

海外はやっぱり危険

海外は安全だ、というと、それはそれで嘘になるでしょう。特に、日本人はお金持ち、という認識が世界共通であるようで、そこを狙われたりすることも多いです。それと観光地だと、観光客を狙った犯罪、偽警官、すり、置き引き、偽ガイド、といった犯罪もあります。もちろん、紛争地であれば戦争に巻き込まれ直接的に体に傷をつけることがあるかもしれません。また、紛争地でなくとも、テロ、災害で思わぬ傷を負うかもしれません。

どうしても、異国の地、勝手も状況もわからず、言葉も通じない、とトラブルに巻き込まれることはなくはありません。そのため、海外で日本のようにすごすと思わぬ落とし穴にはまる可能性はあるでしょう。

全体的に捉えない

ここまで、読むと、タイトルと話の流れが違うじゃないか!、と思った人もいるかと思います。実はここからが本題。よく陥りがちなのは、物事を大きく捉えがちで、そうすると、どこにも行けなくなってしまう、ということです。例えば、「海外は危険だ。」、「アフリカは危険だ。」、「中近東は危険だ。」とひとくくりにして議論されがちですが、実際は、危険度は場所や時間によっても違うので、そう簡単に全体的にまとめられるものではありません。

例えば、中近東。イスラム国の影響もあり、中近東はすごく危険だ、という印象を持つ方が非常に多いと思います。実際、外務省の出す、海外安全ホームページの危険情報(2016年7月18日現在)を見ながら検討してみましょう。まず、シリア。全土にわたり危険度レベル4、これは危険ですね。それからイラク。これも全体赤っぽくレベル4の面持があります。ただ、よく見るとレベル3、レベル2の地域もありますよね。さらに、シリア、イラクの隣国のヨルダンですが、シリア国境あたりはレベル2、その他の地域はレベル1です。若干危険そうですが、シリア、ヨルダンと比べるとぐっと安全そうですよね。さらには、アラブ首長国連邦カタールに至っては真っ白。レベル1の地域すらありません。このように、中近東といっても、国、地域によって危険度が異なります。

同じ地域だとしても場所、時間帯によって危険度は変わります。時間でいえば、多くの人が出歩いている昼間のほうが、人通りのない夜よりも安全でしょう。また、なにかイベントや記念日的なことがあり、人がたくさん集まるようなことがあれば、そこがテロに狙われる、ということもあるでしょう。場所であれば、同じ都市でも、危険地帯とよばれ、住人でもあまり近寄らないようなところがあります。僕が住んでいたサンフランシスコでもテンダーロインという地区ががあり、ここは治安が悪いとされ、私も極力立ちいらないようにしていました。

新聞報道等だと、紛争、テロが起こった時しか情報が流れず、普段穏やかな暮らしをしている様子はなかなか流れてこないので、海外は危険だ、という印象を抱きがちです。ですが、実際はどうかというと、国、地域、場所、状況、時間帯により異なるので、そこはきちんと分けて考えるようにしましょう。

海外のリスクをマネジメントする、という発想

確かに、海外に出る、ということには一定のリスクが伴います。これは、一番最初でも述べたとおりです。海外に行きたい、という人はどうすればいいのか、ということですが、一つの答えとしてリスクをマネジメントする、ということに尽きるでしょう。

例えば、具体的な情報収集をする、危険情報であれば先にあげた海外安全ホームページの他地球の歩き方等のガイドブック、それに、旅行代理店からの情報もあります。もちろん、海外安全ホームページを真っ先にみるのですが、その他、旅行代理店がツアーを催行しているかどうか、ということも一つの判断基準となります。彼らもビジネスとしてやっている以上、専門家としてのリスク判断をもってツアーの催行を企画しているはずなので、彼らがツアーを催行していれば、行ってもよさそうだ、ということになります。

情報を収集し自分なりな評価をしたあとは、実際に訪問するかどうか、訪問した場合はどう行動するか、等々、想定されるリスクに対して、ひとつずつ対策を立て、実行していく、ということになります。それでも、リスクゼロというわけにはいかないのですが、そこは割り切りで、日本にいても、災害や交通事故に巻き込まれるということはある、というように考える、ことも一つです。

もちろん、「海外は危険だから行かない。」というのも一つの考え方ですし、それを否定することはありませんが。

まとめ

確かに海外は危険、というのも一理あります。ただ、危険度相は地域、場所、時間等により危険度は異なり、きちんと対策を立てればある程度のことは防げるはずです。各人は各人の価値観、リスク評価等に基づき、海外に行くかどうか、行った時のすごし方を考えていただければ、と思います。旅は自己責任なので、自分の判断で決めていきたいですよね。

追伸

本文と内容は重なってしまうところもあるので、本文中ではとりあげませんでしたが、同じようなことを言っている方がいらして、非常に共感を覚えたので少し引用してみます。こちら以前とりあげさせていただいた、ヨシダナギさんの「ヨシダ、裸でアフリカをゆく」より。海外旅行を愛する人であれば、誰もが共感を覚える文章かと思います。

日本人は、噂やニュース、自分の目で確かめられていない情報にとらわれ過ぎだと思う。

「アフリカ全土が危ない」なんてニュースは、絶対にやっていない。残念なことに、今も情勢が安定しない国があるのは確かだし、過去に私が訪れてきた国の中にも、今現在は渡航できなくなってしまっている国もある。でも、それは54カ国もあるアフリカのほんの一部の国だけ。

なのに、ほんのわずかな国の出来事を、私たちは”アフリカ”というあたかもひとつの”アフリカ国”で起こっていることとして、みてしまう。

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