情けは人のためならず、これは人に良くすることは人のためではなく自分のためにもなる、という言葉ですよね。正直さもそれと同じで自分に跳ね返ってきます。
アルプスの少女ハイジ(書籍版)の中でペーターがクララに意地悪をして、それをおばあさまが説教をする、というエピソードがあります。その説教の内容を少し引用してみましょう。
悪いことをして、誰にもわからないと思ったら、大きな間違いなんですよ。神さまはなにもかも知っていらっしゃるのです。だから人が悪いことをして、それを隠そうとすると、神様は小さな番人を起すのです。それは、わたしたちが生まれたときから、神様が私たちの心の中に入れておいた人で、私たちがなにか悪いことをするまでは、静かに眠っているのです。そして、目を覚ますと、小さな月棒で絶えず私たちをつつくのです。それにその番人は「今にわかってしまうぞ。今にひっぱり出されてひどい目にあわされるぞ」と言って、ますますひどく私たちを苦しめるのです。だから、そんなふうになるとわたしたちは、心配したり苦しんだりして、一瞬も幸福な安らいだ気持のするときがないのです。
つまり、悪いことをする、そしてそれを隠している、という状況は精神的につらい状況となります。子供の頃、いたずらとかして、つい物を壊したりしてしまうことあったことでしょう。それを隠していると精神的に辛かったのではないでしょうか。逆に、すぐに謝ってしまえば、その時は怒られて辛いですが、それが終わってしまえば意外と心が晴れているということもあったでしょう。
ただ、大人になると少々事態が複雑で、正直に話さないことがいい場合もあります。そんなときは心の痛みに耐えなくてはいけないこともあるでしょう。でも、そうした場合でも、信頼のおける友人や専門家(カウンセラー、弁護士等)に話ができれば、ある程度は心が落ち着くはずです。キリスト教会では、牧師さんに罪の告白をすること、ありますよね。これも、小さな番人に耐えかねて、自分の罪を打ち明けるわけです。
結論としては、悪さをしてもできる限り、話してしまったほうがいい、となります。それにより、小さなの番人に心をつつかれずにすみます。やっぱり、正直が一番、という説教的に終わってしまいました。