前回は、資金と利益のズレが生じる要因、として、減価償却について論じてみました。今回は、もう一つの大きな要因である、売掛/買掛/在庫、について考えてみます。
売掛金/買掛金/在庫とは
売掛金とは売上をしたときに後で代金をもらえる権利であり、また、買掛金とは商品を購入し後で代金を支払う義務を、さします。また、在庫はまだ販売せず企業に残っている、商品や製品ですね。
利益と資金のズレが生じるメカニズム
これらの項目はそれぞれ利益と資金の流れにズレをもたらします。例えば、売掛金であれば売上はあがるのですが、その分の資金は入ってこないのでズレます。買掛金は費用が計上してるけど、代金は支払っていないので、やっぱりずれる。在庫を計上すると、資金は流れないが、利益が増える(売上原価が減るため)でズレが生じます。
特にずれが問題となるケース
とはいえ、ビジネス環境が安定し、これらの項目が毎期毎期それほど大きく変動しない場合は、利益と資金の流れのズレはそれほど深刻にはなりません。
それが深刻になるのは、ビジネス環境が悪化し、売掛金の回収がむずかしくなったり、販売不振で在庫が積みあがった時。こういった時は、会計上の利益はそれほど悪くなってなくても、資金が足りないという状況になりがちです。つまり、本来、お金になるべきものが企業の中で滞留してしまっているから。これは苦しい。
それとともに、売上が急激に拡大している時も資金不足になりやすいです。売上があがっても、いったんは売掛になってしまうので資金になるにはしばらく時間がかかります。通常、前受商売でない限りにおいては、仕入が先行するので、支払のタイミングは早くなります。とすると、会計上の利益はあがっていても、やっぱり、資金不足に陥りがちです。こういった場合は、成長が落ち着くと資金が入るようになるので、そこまではつなぎの資金を入れてしのぐことが肝要でしょう。
まとめ
ということで、利益と資金、乖離しやすいケースをとりあげみました。この他、利益と資金の流れのズレが生じるのはいくつかあるのですが、その典型例と特に利益の関係でいうと見逃しやすい項目をとりあげてみました。