直接、お客さんと対応する、ということを仕事としている人も多いかとと思います。営業なんてまさにそうですよね。私は、営業とは少し違うのですが、お客さんと会社の中の人(もしくはお客さんと関連ファームとの調整)との仲立ちのような仕事をしてきたので、それについてまとめてみます。
相互の立場を理解する
まず、接点となるためには、お客さん、会社内部の人たちの言い分を理解します。それぞれ、言い分には正当性があるため、そこをきちんと理解する必要があります。
例えば、上海駐在時代に日系企業の顧客担当窓口をしていたとき、日系企業のマネジメントの方々と中国人の監査チームで言い分が異なることがありました。会計処理等でのことが多いのですが、日系企業の方は決算スケジュール、予算等という観点から決算を気にします。また、必ずしも、会計/税務に明るい方ばかりでは、ありません。他方、監査チームは会計の正確性、監査手続の十分性という観点から対応しがちです。決算の観点が異なるため、時折、意見が合わないこともあります。そういったときに、調整する必要が我々の仕事なのですが、そのためにはまずお互いの言い分を理解するようにします。
内容を整理して伝える
お互いの言い分を聞いたら、内容を整理して伝え方を考えます。もともと、立場や考えといったものが異なるため、お互いの言い分をそのまま手渡しているとうまく解決をしません。そのため、うまく噛み砕いて伝える、であるとか、いったんは当事者に伝えず自分のほうで処理する、というような対応となります。
例えば、上記の例の場合、会計上の検討課題が発生したとする場合、お客さんのほうではうまく見解を理解できていないこともあるので、それについては我々がわかりやすく説明します。また、スケジュールについては、きちんと会社側の状況を伝えて監査チームに会社のスケジュールに沿って対応するように伝えたりもします。
あとは、会社の人間はなんだかんだいっても仲間なので、お客さんの状況を説明して、対応の意見を求めることもあります。そういった場合、話をしていると結構いいアイデアが出ることもあります。
ケースによっては、それぞれの言い分をそのまま伝えることもあります。例えば、報酬交渉は変に我々のほうで理屈をつけるより、金額をそれぞれにぶつけていく、ほうがスムースに行くこともあります。
究極的には、両者で対立が起こっている場合、それを解決するようなソリューションを出せると、最善です。これができると、お客さん側も会社内部も尊敬のまなざしでみてくるようになります。ただ、これができるようになるには、相当の経験を積まないとならず、自分自身はここまでできたことはありませんでした。
日々、知識、経験を付けていく
最後に、必要な知識について日々学んでいく、ということではないでしょうか。やっぱり、知識がないと、双方の言い分をうのみして伝えるだけに終わってしまいます。それを避けるためには自分自身で知識を付けて、特に会社内部の人間と議論できる素地を作るとともに、お客さんにも自分だけでもある程度(あくまでも完全、ではなく、ある程度であること、を注意してください)の答えができるようになっておくことは必要です。
また、日々の業務や起こったことを整理して、自分の中に積み重ねていくことも大切です。これには、一定の時間がかかるのですが。
学び方は、書籍、インターネットで概略をおさえる、というは当たり前として、時には当局のホームページ、会計、税務の基準までおさえるということも必要でしょう。また、会社の中には、会社内部の専門家や、自分の同僚もいたりすること多いため、そういう人たちに話を聞く、ということも有用です。
まとめ
このような立場だと、往々にしてお客さんと会社内部の間に挟まれしんどい想いをすることも多々あります。ただ、一方で、両方の言い分を理解できるからこそ、このような仕事ができるとも言えます。
今回上げた例でいうと、我々も会計のバックグラウンドはあるので、監査チームの言い分は理解できるのとともに、日本人であることもあり日系企業の言い分も理解できる、ということもあり、このような仕事はある程度対応できる、ということもあります。
なかなか自分自身もうまくできていないことも多いのですが、今後も頑張っていこうとは、思っています。