今回はニュース的な内容から一転、社会事情をとりあげます。イギリスに対するドネルケバブの普及とそれが意味するところについてまとめてある記事があるのでそれをとりあげます。
ドネルケバブとは
ドネルケバブ、主にトルコとで食べられるサンドイッチの一種です。肉の薄切りを柱上に整形したものを周りから加熱して注文が入るたびにその肉を削って野菜とともにパンにはさむそんな料理です。日本でも、ちょこちょこと出す店もあるので食べたことがある人もいるかと思います。
僕が知っているのは上野にあるモーゼスさんのケバブです。よくアメ横に行くとここでドネルケバブを食べに行ったものです。確か、500円くらいだったかと思います。
ヨーロッパ諸国(特にイギリス)におけるドネルケバブの浸透
ドネルケバブがイギリス、フランス、ドイツ等のヨーロッパ諸国に入ってから50年以上が経とうとしています。現在では、疑いのない存在感(原文では”unquestionabl presence”)というほど各諸国に定着、浸透しています。イギリスでは、入ってきた当初は酔客がパブでつまむだけのものが、現在では座って食べる正式な食事になりました。また、ケバブやの経営主体も必ずしもトルコ人、クルド人、キプロス島人に限られたものではなくなってきています。
ドネルケバブの浸透、ということは、ヨーロッパ諸国における移民の問題を考える上で大きな示唆を与えています。これは移民が統合する際には2つの方向性がある、というふうにいわれています。まずは、移民が移民した国の文化を受け入れそれに順応すること。もう一つは移民が自国の文化を移民した国に移植すること。ドネルケバブは後者の象徴的な例、といわれています。イギリスでも、イスラム恐怖症(Islamphobia)により寛容や統合という基本的な価値観に悪影響を与えているが、ドネルケバブがそういった価値観を想い出させることができるのでは、ということです。
また、本国で対立していたとして、移民間では仲良くすることは可能であることを示唆しています。イギリスのドネルケバブ業界では、トルコ人、クルド人が主なプレイヤーですが、ご存じのとおり本国では政治的な事情もあり仲が悪いです。当初はイギリスでもトルコ人とクルド人は仲が悪かったです。時がたつにつれ、イギリスのドネルケバブ産業では、両社が協力して、業界全体を盛り上げています。
現在では、ドネルケバブ産業は、34億ドル規模の産業となり、20万人もの雇用を生み出しています。
親記事リンク:http://www.aljazeera.com/indepth/opinion/2017/03/doner-kebab-integration-story-worth-telling-170306112242401.html
ドネルケバブが流行ることの考察
実は、本邦日本でも、ドネルケバブの人気は結構あります。もともと、上野にあったモーゼスさんのケバブやさんも順調に支店がひろがっており、秋葉原にも支店があるくらいです。
ここで、なぜ、ドネルケバブが流行るのか、考えてみました。まず、異国情緒あふれる外観と料理です。あのぐるぐる回っている肉、見るだけでワクワクしませんか。また、味付けもスパイスが効いたエキゾチックなものになっており、おいしいです。値段もさほど高くなく、確か500円くらいだったと思います。これなら、ハンガーがーよりちょい高いくらいなので、気軽に食べることができるでしょう。この値段を演出しているのが、スペースをとらないこと。ローストする機械は上に高いので面積はとりません。なので、屋台やスタンドでも出せるので場所をとらず、その分、値段を下げることができます。
ということで、ドネルケバブ、流行る要素があるので、それをふまえるとヨーロッパでも流行るのはわかります。日本だと、位置的にも制度的にもあまり中近東の人は少ないのですが、ヨーロッパでは結構たくさんいるので、日本よりはるかに流行っているのでは、と推測されます。
なににせよ、ドネルケバブで、民族の融和が進めば、それは意義深いものだと思います。