つい先日、米国と中近東諸国におけるフライトに電子機器類を持ち込むことを禁止する省令が発せられました。その概要と影響をアルジャジーラ英語版から拾ってみました。
電子機器持ち込み禁止令の概要
アメリカ合衆国は、8つのイスラム諸国(にある都市)からアメリカ合衆国に行く直行便について携帯電話より大きな電子機器は持ち込むことを禁じました。ここで、影響を受ける空港は、カイロ、アンマン、クウェート、カサブランカ、ドーハ(そう、あのドーハの悲劇のドーハです)、リヤド、ジェッダ、イスタンブール、アブダビ、ドバイの10都市8か国になります。それぞれの国にあるナショナルフラッグが影響を受けました。電子機器にはノートパソコンやタブレットもまれるようです。
ここで、電子機器の持ち込みを禁止した理由は、それにより、テロ行為が行われることを防ぐため。これまで、くつ、液体、プリンター、アンダーウェアに爆発物を仕込まれてきており、次は電子機器に仕込まれるのではないか、と米国国土安全保障省は説明します。
これについて、あまりにもスクリーニングが大ざっぱとか、じゃあ、別の第3都市を経由した場合だと防げないのでは、というような批判もあります。また、いつものように省令が出てからのリードタイムが短いので、対応に苦慮したのではないでしょうか。
親記事リンク:http://www.aljazeera.com/news/2017/03/electronics-flights-middle-east-170320232426035.html
ちなみに、この記事では書いていないですが、イギリスでも同様の禁止令を採用したとのこと。イギリスとアメリカの対象国は若干異なるようです。以下では、この禁止令の影響を別の記事から拾ってみます。
顧客の怒りの声
当たり前といえば、当たり前ですが、乗客はこれについて困惑や怒りの声があがっています。例えば、
「アタチュルク空港(イスタンブール)は他の空港と比べても安全だ。なのに、なぜ、ここが禁止令の対象になるのだ」
「トルコ航空は乗客の利便性が減ればこの会社や業界全体に影響を与える。乗客の利便性を高めるために、free wifeや飛行機の中で使える携帯の電子機器を提供すべきだ。」
「この禁令は差別的で、対象国の航空産業に悪影響を与える。」
「この禁令は対象国における全ての人々をテロリスト扱いするものだ。」
「ラゴスやイスラマバードなどもっとリスクが高い地域のフライトには適用されていない。」
等々。確かに、突然、航空機内にノートパソコンやタブレットを持ち込めなくなれば、それはそれは不便で、怒りたくなる気持ちはわかります。
親記事リンク:http://www.aljazeera.com/news/2017/03/frustration-cabin-electronics-ban-force-170325064741713.html
各航空会社の対応
とはいっても、各航空会社はこのまま手をこまねいているわけではありません。これをマーケティングキャンペーンに展開します。
エミレーツ航空では、「タブレットやノートパソコンなしでも機内で楽しもう!」というビデオをソーシャルメディアに乗せました。ヨルダン航空では、「12の機内における楽しみ。」というメッセージを発しました。これは、本を読もう、軽いスナックを食べよう、隣の人と話をしよう、瞑想しよう、、、、というように、ノートパソコンやタブレットなしで楽しめることを提案しています。カタール航空は「3,000チャネル以上あるんだぜ」というように。
こんな感じで、この禁令の影響を薄めようとしています。とはいっても、これだけだと厳しいかな、、、という感じですが。
親記事リンク:http://www.aljazeera.com/indepth/features/2017/03/arab-airlines-trump-bans-marketing-170323085707065.html
まとめ
アメリカ、それに引き続くようにイギリスが電子機器持ち込み禁止令を発しました。乗客のみなさまからは批判ぷんぷん。それでも、航空会社はなんとかこの状況に対応しています。
個人的には、確かにテロの脅威を防ぐのは大切なのでしょうが、特定の国からのフライトについてのみだけ一律に禁じる、というのは若干メッシュが荒く納得感は得にくいのでは、と思う今日この頃です。