アルジャジーラから世界をのぞく、2回目となりました。前回から引き続き税金ネタを。あまり意識しているわけではないですが、一応は会計を業とするものなので。舞台は、ぐっと変わって、中近東へ。
記事の概要
ここでは、GCC諸国が2018年から5%の付加価値税をかける、と、報じられています。ここで、GCC諸国とは、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、クウェート、カタール、オマーン、バーレーンの6か国。いってみれば、中東における産油国の連合体です。とはいえ、教育、ヘルスケア、再生エネルギーといったいくつかの産業においては、VATの免税措置がとられるようです。
背景としては、石油価格の減少があります。産油国、ということで、国の財政は石油による収入に依存しているところがあります。石油価格が減少すると、国の収入が減少し国家運営に支障をきたすためにVATを導入したようです。識者によると、これらの諸国は徴税制度が整っていないので、スムーズにVATの導入は難しいのではないか、と言われています。
ちなみに、付加価値税とは流通税の一種で、日本でいうところの消費税と似たような仕組みの税金を指します。
親記事のリンク:http://www.aljazeera.com/news/2017/02/gcc-nations-adopt-vat-year-170212102959635.html
UAEにおける税制の概況
GCC諸国は、石油による収入が大きいため、それほど、税収を必要とせず、税金制度も非常にシンプルなものとなっております。例えば、UAEの制度を例にとってみましょう。出典はJETROのホームページ(https://www.jetro.go.jp/world/middle_east/ae/invest_04.html)より。
法人税については、「制度自体は存在しているが、一部の業種を除いて法人税は徴収されていない。」。この一部業種というのは、外国銀行支店、石油・ガス・石油化学会社のみをさします。個人所得税については、「所得税なし。」という簡潔な記載が。このほか、アパートや事業資産について、いくらかの税金がとられるようですが、日本や欧米諸国と比べるとほとんど税金がかからない、といっても過言ではないでしょう、
考察
GCC諸国、今までは石油からの収入で潤っていたのですが、石油価格が減少するとそうもいっておらず、VATを導入することになりました。これまでは、GCC諸国においては、石油の収入で国の運営はなりたっていたのですが、これだと原油価格や需給状況に財政が左右されることになり、不安定な状況といえます。そのため、GCC諸国も、税制の再構築や新しい産業の創設により、財政基盤を安定にしていく、そのように今後は動いていくのではないでしょうか。