仕事が忙しい、というのは案外便利な言葉です。日本人にとって、「仕事」は何にもまして優先すべき、という暗黙の了解があります。なので、「仕事が忙しい」というと、それ以外のことは多少劣後しても文句は言われません。ですが、この言葉、あまり乱用しない方が良さそうです。ぼくも、結構、忙しがっていることも多いので、自戒を込めて書いてみます。
まず、対人関係、特に家庭においてです。夫側に多いのですが、「いや〜、仕事が忙しくてさ〜、〇〇できないよー。」といって、家庭内での役割を軽くしようとしたり、約束を反古しようとしたり、することありませんか?「仕事が忙しい」と言われると、相手側にとっては何も言えなくなってしまいます。相手によっては、「仕事と私、どちらが大切なの!」と迫ることもありますが、その言葉をグッと呑み込んでしまうの方が多いこと思います。
なので、短期的には「仕方がないな〜」で済むのですが、そこに「いらっ」という感情は生じます。それがどこかで解消されるといいのですが、やがてはこの「いらっ」がどんどん蓄積していきます。そうやって「いらっ」が積み上がると、どこかで爆発してしまうか、もしくは、その人との関係を諦めてしまうか、、ということがあり、いずれにしろ、関係はかなり悪化してしまいます。
友人関係でも、家庭関係ほどではないのですが、「忙しい」、「忙しい」といっていると、いつの間にか、仲間関係から外されてしまい、人間関係の輪が閉じてしまうでしょう。
あと、自分との関係。これは、人生をよりよく生きられない、可能性があります。つまり、仕事に流され、「忙しい」、「忙しい」といって、自分はどういう人生を歩みたいかということを考えること、や、それに対して行動を起こしていくこと、を怠ってしまう、、ということあり得ると思います。
まあ、その仕事が好きでずーっとそれをしていることが幸せ、、ということであれば、いいでしょう。ですが、後になって、「〇〇すればよかった」、「XXすればよかった」という、後悔をしてしまう、ということは切ないです。
そもそも、「忙しい」ということはその対象はネガティブです。趣味の時間は、いくらそのことに時間を投じても「忙しい」という言葉は出てこないのでは。釣り好きの人が一日中釣りをしていた場合は、「いやー、一日中釣りをしていて忙しかったなー」とは言わないでしょう。
ということで、「仕事が忙しい」というのは非常に便利な言葉です。ですが、そればかりでは、人間関係も自分の世界も閉ざされてしまいます。なので、忙しい中で、どうやって時間を作っていくか、工夫していくことが必要でしょう。