ストレーツタイムズ、やはりシンガポールベースの新聞社だけあって、アジアの記事が充実しております。当然に日本の記事もあります。豊洲市場移転問題、内閣支持率低下、真子様ご結婚等の主要なニュースもありますが、実は、こんなこともとりあげております。
福岡スマートシティ
日本では東京から地方へという政府の構想のもと、いくつかの都市では規制の緩和、新規の事業や労働力を引き付けるための施策等に着手し始めています。
そんな中脚光をあびているのが「福岡」で、スタートアップが活発で人口も急速に増やしています。ここの市長である高島氏は2010年36歳という若さの中、福岡市長となりました。彼は、主に起業家の活動が活発であるシアトルに影響されたと言っております。
もともと、福岡は交通の便が非常によく、空港、ターミナル駅、港湾が2.5km圏内にあります。そして福岡から2時間あれば、飛行機で東京はおろか、上海、ソウル、台北というアジアの玄関口となる都市にもいくことができます。そのため、もともと福岡では、言語の壁を取り払うべく、英語、日本語、中国語、韓国語が公共の案内に書かれております。
高島氏は東京よりも営業コストや賃借料が安くなるようにし、また、国家戦略特区としやすい起業家が安い税金や政府の補助金を享受できるようにしました。また、ビザ要件を緩和し外国人が起業しやすくしたり、多くの士業、コンサルタントからなるスタートアップカフェを開設し、税金、人事、について11か国語でアドバイスが受けれるような体制になっています。
この結果、先月(この記事が書かれたのは2017年6月であるため、5月のことかと思います)には、100以上の会社が開設され、そのうち14が外国人により開設されたものです。高島氏は「スタートアップカンパニーからもたらされる新しい考えやイノベーションは今の閉塞状態や将来への悲観的な見通しを打ち破るものになるであろう。」というコメントを残しております。
その他、リモートで仕事をするIT企業のサテライトオフィスが多くある、徳島県の神山市、それに富山市もとりあげております。
親記事リンク: small but smart cities woo business and young talent
東京から地方への人の流れ
東京は日本の首都であり、政治経済の中心であります。そのため、どうしても地方から東京へ人が流れる傾向にあります。そのため、東京では人口が過密となり物価の上昇、満員電車などの問題が発生し、他方、地方では過疎化、高齢化が進んでいる。つまり、人口の偏りが大きくなりすぎ、それぞれで問題が発生している、という状況です。こういう問題意識の中、逆の流れ、つまり、東京から地方へ、ということがでてきております。これにはいくつかの背景があります。
まずは、政府の後押し。今の安倍政権の政策目標の一つとして、「地方創生」というテーマを掲げています。それに伴い、地方に人やお金が流れるような政策がとられていて、これが人の流れを後押しします。もちろん、受け皿となる地方公共団体も、地方に人を越させるような施策を採用しています。福岡市や神山市もその一例でしょう。
次は、情報技術や交通網の発達。情報技術といえば、やっぱり、インターネット。電子メールやスカイプにより、安価に素早く遠隔地間でコミュニケーションをとることを可能にしました。それにより、職業によっては東京にいずしても、仕事ができる、という環境ができてきました。特に、IT系で顕著です。また、LCC等の安価な移動手段の発達により、移動コストが減りました。これも、地方への人の流れをできやすくしています。
最後に、人の意識の変化でしょう。東京、たくさんの人やコミュニティがあり、食べるところや遊ぶところもたくさんあり、仕事の機会もたくさんあり、非常に刺激的で面白いです。とはいえ、東京だと仕事が激しい、というところもあり、つい、疲れることもあります。そういう人が、地方に自分の人生を求める、ということが増えてきているのでしょう。自分の周りにも何人かそういう人がいます。また、故郷に帰りたい、という人もいるので、そういう人も上述のように地方でも仕事ができるようになればそれに伴って帰る、人もでてくるかとも。
ということで、最近は徐々に東京から地方への流れができてきた、ということでしょうかね。まあ、ここまで事件性がないことをとりあげる、ストレーツタイムズはすごいな~、と思いました。