私が、会計士時代に簿記を勉強していたときに言われたのが、「簿記はスポーツだ」ということ。えっ、簿記って机の上に座って、電卓をたたいているだけじゃないの、と思う人はいると思います。それはそうなのですが、この言葉には含意が含まれています。
これはまだ公認会計士の2次試験があった頃のお話。当時の会計士試験には簿記論という試験問題がありました。今だと、財務会計論に含まれているかと思います。この簿記論、大問2問で構成されており、与えられた条件に基づき試算表や財務諸表を作成する、という問題でした。この問題の量が非常に多くて制限時間(2時間)の中では、なかなか解けきれません。これをどうするか、ということが問題となります。
制限時間の中、問題を解きこなすにはどうしたらいいか、単に理解をしているだけ、では到底太刀打ちできません。知識を記憶する、これも理解よりはましですが、これでもまだまだです。最低限、問題を見ると自然に体が動くようになる、そのレベルまで持っていく必要があります。そして体が動いたとしても、答えと全然合わない、ということではダメなので、きちんと正解にたどり着かないといけませんよね。そうすることにより、ようやく試験の合格が見えてくる、ことになります。
そのレベルまで到達するためにはなにが必要か。第一段階として、知識として内容を理解する、ということは不可欠です。その後は、問題演習を繰り返して、必要な知識を自然に習得するとともに、どんどん、処理速度と正確性をあげていく、必要があります。繰り返し、繰り返し、練習すること、それこそが求められるわけです。
この、簿記には体が自然に動く水準に、ということと、繰り返しの練習が必要、という特徴をもって「簿記はスポーツだ!」ということが言われるようになったのでしょう。個人的には、この言葉が腑に落ちるところがあって、ひたすら繰り返し簿記の問題を解いていた覚えがあります。まあ、簿記に限らず、試験勉強全般に言えることですし、もっと一般化すると「知っている。」から「できる。」というレベルに持っていくには、やっぱり、「繰り返す」ということが要請される、ということになるでしょう。