会計学とその近接領域への誘い(6) ~財務会計に関連する法規制

財務会計、そこから作られる財務諸表の内容は、投資家、株主、債権者等等様々な関係者に大きく影響します。そのため、それを規制するためにいくつかの法令があります。なお、ここでは、法律を取扱い、会計基準はとりあげません。

会社法

会社が作成する財務諸表、会計帳簿について定めております。なお、会社法の世界では、財務諸表を計算書類等として呼びます。会社法の目的は株主や債権者を保護することが目的とされております。そのため、それらの利害関係者に対して適切に会社の状況を報告すべく、種々の規定が整備されております。

そのうち、開示要件としては、計算書類等を年に1回作成し、開示することを求めています。また、資本金や資本準備金に相当する財産が会社に残るように配当に制限をおいたりもします。会計処理の方法については、「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従う」とされており、会社法独自の基準は求めらておりません。ただし、表示については具体的に規定されております。

金融商品取引法

金融商品取引法の規定においては、主に株式上場している会社について。詳細な開示基準を設けております。上場している会社の株式等は広く公衆の間で取引されることから、多くの利害関係者がうまれます。そのような観点から、金融商品取引法は会社法より、広範な開示を求めております。具体的には、四半期に1回の開示、会社法と比べると非常に多い開示情報、連結財務諸表の作成等が要請されております(会社法においては、基本的に上場会社以外は連結計算書類の作成は求められません)。

法人税法

法人税法は法人税の計算を行うことを定めた規則です。法人税法は上記の2つの法令と比べ、企業の開示について定めたものではありません。しかしながら、法人税は計算書類上の当期純利益をもとに計算するため、計算と密接にかかわってきます。また、慣行として、税務上の処理が会計上の処理に影響を及ぼすこともあるので、財務会計は法人税法の影響も強く受けます。

まとめ

このように、財務会計は主に上記の3つの法令の影響を受けます。もちろん、銀行法等特定の業種に関わるもの等もありますが、基本はこの3つと把握しておけばいいでしょう。これらの3つの法令がそれぞれどう関係するか確認する必要があります。

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