よく、事例の大切さ、について語られることが多いです。ここで、事例とは、具体例として引き合いに出せる実際にあったことを指します。事例は有用ですが、使い方には注意する必要があります。今回はそんなことをば。
事例は一つの事象でしかありません。そのため、事例があっても、それは稀な出来事であり、汎用性がない可能性があります。これは、事例が複数あったとしても同じことで、事例の有無により、帰納的に一般的な解を導きですのは困難です。
また、事例は、自分たちの問題解決に役立つとは限りません。例えば、何がしかについてうまい方法があったとしても、それを自分たちが模倣して、必ずしもうまくいくとは限りません。それは先に述べたように、たまたまうまくいった、という場合もあるでしょうし、自分たちには適合しない、と言うこともあります。
なので、事例を完全なものと思ってしまいがちですし、金科玉条にしがちですが、そこには落とし穴があります。
では、どう捉えるか、というと、参考事例です。つまり、事例というのは、何か証明したことについては、立証材料や説得材料の一つ、として考えます。事例だけでは弱いのですが、統計的事実や演繹的論理との組み合わせで証明したいことを補強できるようになります。事例があると、立証力はさておき、説得力は高まります。
また、生活のためのヒント、とも考えられます。こういう事例があった、というときに、それをすぐに真似するのではなく、自分たちに当てはまるかどうか考えたり、また、役にたつ部分だけ取り入れる、ということもできます。ゼロベースで考えるよりは、考えやすいかな、と思います。盲信ではなく、選択ということでしょう。