事業承継における先代と後継者の事業に対する考え方の違い

事業承継をする際に、立場によって、自分の人生における事業の位置付けが異なってきます。そういった、心理を理解しておくと、先代と後継者の意見の相違がわかることもあります。今回はそんなことをば。

まず先代にとって事業というのは手段である、ということです。つまり、何かしら、やりたいこと、人生の目標、憧れ、みたいなものがあって、それを達成するために事業を起こすわけです。まあ、会社員のままで達成できるものであれば、わざわざリスクをとって起業しないわけですし、そこにはなんらかの目標があります。

また、先代が事業を始めてから拡大させていく、ある意味、攻め的な要素が入り込んできます。戦国時代で例えると、旗を立てて攻め込み領土を拡大させていく、ような感じです。

なので、いざとなれば、事業に対する執着はあまりなかったりします。目的が達成できなければ事業をする必要はないし、もともと、ゼロベースで始めたものなので、最悪、まあゼロになってもいいや、と思えるわけです。とはいえ、ある程度、時が経って自分が始めた事業が形になったり、従業員を雇用し始めるようになると、事業に対する執着が出てきます。

逆に、後継者にとっては事業は目的だったりします。自分が受け継いだ、大切な守るべきものという捉え方をします。戦国時代の例えだと、すでに領土は持っているので、それをどう維持していくか、ということが焦点になります。とすれば、事業が毀損するということについて、恐怖心に近い不安を持ちます。例えば、100あるものが80になってしまった、となれば、それでも80あるからいいじゃん、とは考えられず、むしろ、自分がマイナス20を引き起こしてしまったということを嘆いてしまったりします。さらに、右肩下がりに下がっていくイメージを持つことも多く、そういうモードにとられると精神的にしんどかったりもします。

というように、同じ事業でも捉え方が先代と後継者とは異なります。その点からも、先代や後継者間での意見の相違が出やすいです。ですので、こういう心情を理解しておくと、事業承継を進める上でのコミュニケーションはスムーズになるかと。

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