財務諸表から10分で会社の状況を読み取る方法、前回は損益計算書と貸借対照表についてとりあげてみました。今回はキャッシュフロー計算書についてまとめてみることにします。
各項目のバランスに着目
まずは、各項目の大小関係に注目しましょう。例えば、営業活動によるキャッシュフローが大きく、その他の項目が小さいようであれば、かなり安定してキャッシュを獲得できている、と考えられます。また、財務活動によるキャッシュフローが大きい場合には、資金調達をかなり行っているので、それが将来投資によるものなのか、単に営業活動でキャッシュが入ってこないだけか見定めることが必要です。また、投資活動のキャッシュフローが大きければ、将来を考えて色々と投資しているんだな、ということが読み取れます。
このように、各キャッシュフロー間の大小関係を比較すると、なんとなく、会社の状況がわかります。
会社の成長段階に紐づけ
会社の成長段階によりキャッシュフローの大小関係が異なってきます。
まず、会社を立ち上げた時期。この時期は、投資活動によるキャッシュアウトフローが大きく、財務活動によるキャッシュインフローが大きく、営業活動によるキャッシュフローはあまり大きくありません。これは、立ち上げ時期には、お金を調達しそれを投資に回しているからです。営業キャッシュフローが小さいのは、あまり事業規模が大きくないから。
そして、事業が順調になってくると徐々に営業活動によるキャッシュインフローが大きくなってきます。それと並行して、投資活動によるキャッシュアウトフローや財務活動によるキャッシュインフローが減ってきます。そして、ついには、営業キャッシュフローで、投資活動によるキャッシュアウトフローと財務活動によるキャッシュアウトフローをまかなえるようになります。こうなると、会社の体制は盤石です。
そして、衰退期。徐々に営業活動によるキャッシュインフローが減ってきます。投資も衰退期はそんなにはなされませんが、多少はでるでしょう。キャッシュがなくなればその分、借入等でまかなうことになるので、財務活動によるキャッシュインフローが増えてきます。これが、続くとそのうち借入等を返せなくなり、会社の事業も終焉を迎えることになります。こうなる前になんらかの手を打つことが必要でしょう。
営業活動のキャッシュフローと営業利益の関係
営業活動によるキャッシュフローと営業利益の関係に注意します。通常は、営業活動によるキャッシュフローと営業利益は比例して動きます。ここで、営業利益と営業活動によるキャッシュフローに乖離する場合、注意が必要です。原因としては、支払条件が悪くキャッシュがなかなか回収できない、本来、キャッシュとして回収すべき、売掛金、在庫が滞留している、等が考えられます。
前期との比較
やっぱりキャッシュフロー計算書の分析にあたっても、前期比較は有効です。特に企業の生命線は営業活動によるキャッシュフローとなるので、これの推移はきちんと追うことが大切でしょう。
まとめ
キャッシュフロー計算書、さっとみただけでも色々なことがわかりそうです。特には、各キャッシュフローの大小関係、営業利益と営業活動のキャッシュフローの関係、これをおさえておくと会社の状態がある程度わかります。もちろん、前期比較も大切ですね。