会計学とその近接領域もここで連載11回めとなります。まだ、財務諸表監査については続けていきます。今回は財務諸表監査の流れについてです。
監査計画
年度監査を始めるにあたり監査計画を立案します。これは、昨年の監査の結果、今期に入ってからの環境の変化、事業の変化等を加味して、どのように今年の監査を行うか勘案します。リスクアプローチを採用している、ということなので、どの領域を重点的に検証するかということであるとか、どのようなスケジュールでどのような拠点を往査するか、具体的な人員の配置・仕事の割り振りということを決めていきます。
監査計画は基本的には年度で一貫して実施されます。ただし、期中に大きな状況の変化があった時には、監査計画の見直しが行われます。
監査業務の遂行
期の途中や期末では、監査計画に基づき監査業務が遂行されます。期中の監査は主に内部統制の監査を行います。また、売上や仕入、経費項目の実証手続も行います。、期末前は当期の主要項目の確認、決算上大きな問題になりそうな事項の方針確認、期末監査スケジュールを確認し、期末監査時に大きなサプライズが起こらないようにします。で、期末監査にて財務諸表項目の検証をして、各勘定科目ごとに残高の妥当性を検証します。
監査業務を遂行しているなかで、実施した監査手続の概要と結果について監査調書にまとめていきます。
審査/監査報告書の作成
監査業務が一通り終わったら、審査業務を行い、最終的には監査報告書をクライアントに提出します。審査の過程においては監査チームのパートナーのみならず、審査担当のマネージャーやパートナーにまで監査調書や審査書類のレビューを受けます。そして、この審査が終わると、監査報告書が発行できるようになります。最後、監査報告書に担当パートナーがサインしてクライアントに手渡されます。
ここでは、年度監査を前提としていますが、四半期報告をしているクライアントでは、この流れが年4回あることになります。
まとめ
監査は大きくは監査計画、監査の遂行、審査の3つのプロセスに分かれております。この3つのプロセスが終わると監査報告書を発行することができます。
ちなみに、このプロセスを一通りするようになるのは、主査になってからです。そのため、主査を何回か担当すると、プロセスがわかるようになります。