今回も、不正について書き進めていきます。前回は不正のトライアングルのうち「機会」をとりあげたので、今回は「正当化」、「動機」についてとりあげます。
動機の意義と防止方法
動機、とは自分の欲求を不正な行為によってでも叶えたい、という心理状況となります。例えば、ばくちや投資での損を填補したい、親族が病気なので治療費が必要、などがあるでしょう。特に、まとまったお金が必要となると、通常の手段では入手できない、、ということも多いので、不正な手段に走ることを考えがちです。
防ぎ方、というと、従業員側にある要因なので、会社側で防止策を講じるのは難しいです。考えられることとして、従業員の生活状況や精神状況を理解するよう努力する、ということが挙げられます。つまり、生活状況をある程度でも把握できれば、ある程度、問題解決に手を貸す、ということもでき、結果として不正行為を防げる、ということもあるでしょう。
正当化の意義と防止方法
正当化、とは不正する行為を正当化するような心理メカニズムのことを指します。つまり、自分がその行為をしたとしても、別にかまわない、ということです。例えば、みんなやっている、不当に悪く評価されているのでこうでもしないとやっていけない、等々自分の行為を正しいと思いこむようなことですね。
正当化、これも従業員側にある要因なので、会社側で防止策を講じるのは難しいでしょう。ただ、上司がルーズだと正当化しやすい、ということがありそうです。例えば、上司が接待費を使い自分のために飲み食いしている、、となると部下もそれをまねる傾向があります。そのため、上司が部下の鑑となるべく行動を律していれば、部下もそれにならう、、といえます。
中小企業へのあてはめ
これまで述べてきたように、不正は3つの要因があり、それぞれ単独で抑え込むには限度があります。そのため、3つの要因をバランスよく減少させていく、ことが必要です。
中小企業の場合、管理の仕組みをはりめぐらせるのはコスト的にも業務効率的にも難しいでしょう。ただ、従業員の業務状況を可能な限りチェックし(機会の減少)、従業員の状況を確認し必要に応じて悩みを聞き(動機の減少)、自分のふるまいをただす(正当化の減少)をすれば、不正の可能性を減らすことができます。
まとめ
動機、正当化の従業員の心理状況、も不正の要因となります。中小企業であっても、方法によっては不正のリスクを減らすことができます。社長としては、時間的な要因等でなかなか難しい面もありますが、信じ込んで丸投げしない、ことが必要です。