さて、今回で3回目となる「燃えよ剣」から学ぶ組織論。ここでは、No.2 としてどう大将をたてていくか、ということを考察します。
燃えよ剣のあらすじ
「燃えよ剣」は幕末、新選組副長の土方歳三の半生を描いた小説です。剣術道場の日々、京都に行くまでのいきさつ、新選組結成、芹沢鴨暗殺、池田屋事件、伊藤甲子太郎の入隊、大政奉還、江戸への引き上げ、蝦夷政府樹立、そして戦死までの状況が書いております。以下は池田屋事件後、山南敬助が脱退した時の様子。
山南脱走の一光景
山南が脱退し、そのため、処分を決める際のこと。沖田が土方に、「山南さんをどうするんです。」と問い合わせます。それに対し、土方は隊法に基づき決める、と答えます。厳しすぎる、ということで沖田は、土方に対して、隊内から蛇蝎のように憎まれている、と詰め寄ります。そこで、土方は、
「おれは、蛇蝎だよ。」「知っているさ。総司、いっておくが、おれは副長だよ。思い出してみるがいい、結党以来、隊を緊張強化させるいやな命令、処置は全ておれの口から出ている。近藤の口から出させてことが、一度だってあるか。将領である近藤をいつも神仏のような座においてきた。総司、それは隊長じゃねえ。副長だ。副長が、すべての憎しみをかぶる。いつも隊長をいい子にしておく。新選組てものはね、本来、烏合の衆だ。ちょっと弛めれば、いつでもばらばらになるようにできているんだ。」
嫌なことはNo.2 から
嫌なことは大将には言わせず、No.2 から言うべきということなります。
土方はその後のやり取りの中で、No.2が隊の人気とりを始めると大将である近藤から嫌なことを言わなければならなくなる。そうすると、隊の憎しみや不満が近藤に向かってしまうだろう、といいます。
つまり、大将を組織の中で、尊敬/敬愛されるためには、あまり嫌なこと、叱責するようなことは言わず、鷹揚に構えていた方がいいでしょう。とはいえ、誰かが嫌なことは言わなくてはならない。例えば、組織の規律を厳しくする、説教めいたことをいう、ということもあるでしょう。その場合、No. 2がそのようなことを言うことにより、大将に対する不平不満を減らすことができます。
組織の中で、いいことばかり言ってもいけないし、悪いことばかりでもいけない。それを役割分担することにより、円滑に組織を動かすことができるでしょう。
まとめ
No. 2の人は嫌なことを言わざるを得ないので、組織内で嫌われてしまうこともあるでしょう。そういった場合でも、腐らずに職務を遂行していただければ、と思います。周りの人も、そういう状況を理解してあげれるといいですね。