「いい子」、「いい大人」、同じく、「いい」という言葉を使っています。ただ、使われる文脈やニュアンスが若干異なっているように見受けられます。この違いについて少し考えてみましょう。
いい子の使い方
「いい子」ということは、子供をほめることに使われることが一般的です。なにかをすることができた時、もしくは、本来なら泣き叫ぶようなことがあったときにじっと我慢していた、のような時に使いますよね。子供がなにかいいことをしたときに使うのが、「いい子」という表現が使われます。
いい大人の使い方
他方、「いい大人」は若干ネガティブな形で使われます。いいことをして、「いい大人だね~。」とほめられること、あまりないのではないでしょうか。むしろ、「いい大人がなにやってんだよ。」みたいに、相手を詰ったり、怒ったりするときに使われませんか。これと似たような用法として、「いい年して。」ということもあります。これなんかも、年齢の割に幼いことをしてしまったような場合に使われますよね。
違いが生じる背景
このように、同じ「いい」という言葉を使っても、子供と大人ではニュアンスや使われる文脈が異なってきます。子供だとほめて、大人だとなじる、逆ですよね。ここの背景、もともと、子供は不完全、大人は完全、という認識に基づいているように感じられます。つまり、子どもは不完全だからこそ、「いい」行為をした場合に褒められる。他方、大人は完全であるべきものなので、いいことをしてもあまりほめられない。逆に悪いことをすると、いい大人のくせに、という感じで責められる、ということでしょう。
まとめ
いい子、いい大人、同じ「いい」という言葉を使っていますが、使われ方は大きく異なるようです。そういった違いや背景を知ると、言葉の面白さ、というものが見えてきますね。