国際税務についてまとめてみました(1)~ 国際税務の目的

一応、「国境を超える会計人」を名乗っている(?)ので、少し会計税務のことを書いてみます。今回は国際税務の目的について自分なりにまとめてみました。

2重課税の回避

課税される主体における国家間の2重課税を回避することが目的です。例えば、日本にA社が中国に支店を出した場合を考えてみましょう。支店の利益は日本の本店に帰属するため、この利益が日本側で課税されるとします。他方、支店は中国にあるので、中国の当局にも課税される可能性があります。

このような場合、A社は日本と中国の両方から課税されてしまい、中国で事業を行うことをやめてしまうかもしれません。そうなると、国際的な事業活動が活発に行われなくなってしまうため、このような、2重課税が回避されるように国際税務の枠組みがデザインされています。

各国間の税制を利用した税金軽減を防止

税制はそれぞれの国ごとに異なる。そのため、頭のいい人はそれぞれの国の税制の相違を利用して税金を軽減しよう、と考えます。例えば、税金の安い国(ケイマン諸島や、アイルランドとかですかね)に名目上会社を設立して、支払うべき税金を安くする、ということがあります。この場合、実質的に事業をしている国に支払うべき税金が低くなり、その国は困ってしまいます。

こういった場合、租税回避のみを目的とした行為については防ぐような仕組みがあります。この場合であれば、名目上の会社に計上された利益も含めて本来事業を行っている国で課税される、という感じ。

各国間の利害調整

それぞれの国家が課税権を主張すると2重課税の問題が生じます。そのため、国をまたがる場合には、それぞれの国家間でどのように税金を分配するか、という利害を調整する必要があります。そのような場合は、租税条約というものを締結し、課税の方式/配分について調整したりします。

まとめ

国際税務は、事業/活動する主体が国家をまたがるため、主体に対する課税/各国の課税権をどう調整するかが論点となります。しばらくは、思いついたように、国際税務につい考えてみたいと思います。

10月12日 追記

以前も紹介しましたが国際税務を勉強するには以下の書籍がおすすめです。これは、細かい制度の内容より、考え方が平易に紹介されています。私もなんどとなく読み返しました。このブログを書くときは、自分の言葉でまとめたいので見ながら書いているわけではありませんが、広い意味での参考文献となっております。

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