僕の好きな料理マンガの一つに「大使閣下の料理人」があります。これは、倉木大使(連載当初はベトナム大使)の公邸料理人(大使館付きの料理人)、大沢公が料理により倉木大使の外交をサポートしていく、という内容になります。色々と奥深い話ですが、ここでは、海外キャリア形成術というところに焦点を当ててみます。若干、ネタバレのところもあるので、ご留意ください。
あらすじ
大使閣下の料理人、現在25巻で完結しており、その内容は大きくベトナム編と日本編で分かれます。ベトナム編は倉木大使がベトナム大使だったことの話で、もっぱらベトナム国内(時には日本やタイもあるものの)で活動をしております。
その後、倉木大使がベトナム大使から国家情報担当大使に担当が変わります。その際には、舞台は日本を中心とするものの、フランス、中国、香港、タイにも出かけていく、というストーリーとなります。
最後は大沢公は倉木大使から離れ、NKホテル(大沢公がもといたホテル)で食卓外交ができるような体制作りというプロジェクトに従事することになります。大沢公の料理人人生はまだ続くのですが、「大使閣下の料理人」ではなくなってしまったので、マンガとしてはこれで終わり、25巻で完結です。
海外キャリア形成3段階プロセス
大沢公のキャリアを見てみると、ベトナムで公邸料理人としてその国にどっぷりつかる、日本で公邸料理人として様々な国に関わる、最後に食卓外交を日本で推し進めるべく組織づくり、後進の育成といったことに関わる、というふうに流れていきます。
これは、海外のキャリア形成の一つの道筋をしめしているのでは、と考えます。つまり一般化すると、①まずはどこか外国に就業してそこでのキャリア/経験を積みます。その後、②日本に戻り日本を中心として様々な国に関するキャリア/経験を積みます。この場合、自分がかつていた場所(大沢公の場合はベトナム)にとらわれず、様々な場所に関わっていきます。最後に、③自分が前線に出るのではなく、自分がこれまで得た経験を活かして後方支援として組織を作ったり、後輩を育成したりするという3段階モデルが提示できます。
必ずしも海外にいなくてもいいということ
もちろん、これは一つの類型ですので、海外キャリアといった場合、これに限定はされません。大使閣下の料理人に即していえば、ベトナム大使館の公邸料理人でいる(13巻時点)、という選択肢もあり、また、中国大使館の公邸料理人となるという選択肢もあり(25巻時点)、それを選んだとしても、海外でのキャリアを深めることができます。
ただ、ここでのポイントは、海外でのキャリアを考えるには必ずしも海外にいなくてもいい、ということです。日本から海外に関わる、組織づくり/後進の育成という点をすることも可能です。どうしても、個人的な事情や好みでずっと海外にはいれない、という人も多いので、そういった人でも海外でのキャリアを進める/活かすことは可能だ、というところが、ここで最も主張したいことになります。
まとめ
海外キャリアの形成として、①まずは海外、②それから日本、③組織づくり/後進の育成、の3段階プロセスという方法があります。ここでのみそは必ずしも海外での知識/経験は海外にいなくても活かせるということが言えそうです。もちろん、ずっと海外ですごす、ということも一つの選択肢としてあるので、それは自分の事情や好みを勘案して決めていくことになります。
その他、内容も色々と面白いので、是非一読してみてください!