囚人のジレンマゲームで受験戦争の構造を分析する

囚人のジレンマ、これはゲームの理論の中でも非常に有名なお話です。囚人のジレンマ、社会問題の構造分析に良く使われます。受験戦争についても、適用することができそうなので、ここでまとめてみました。

囚人のジレンマとは

囚人のジレンマ、ゲームの理論における一つのモデルです。つまり、いくつかの前提を置いた場合、人はどう行動するか、ということを分析します。具体的には、このモデルには2人の囚人(A、B)がいて、それぞれ自白する、黙秘する、という2つの選択権があります。それぞれの囚人はお互いが考えていることはわかりえません。また、囚人にとって懲役期間が短いほうを選好します。両方が黙秘した場合は懲役3年、片方が自白した場合、自白したほうの懲役は1年、自白しない方の懲役は10年、両方自白した場合にはお互いが懲役5年です。この場合、それぞれの囚人がどう行動するか、というのが問題です。

それぞれが選択肢を選んだ場合の結果を考えてみましょう。まず、A側にたったとき、どのように変化するか。まず、Aさんが自白する場合、Bさんが自白すれば懲役5年、自白しないと懲役1年となります。他方、Aさんが自白しない場合、Bさんが自白すれば、懲役10年、自白しないと懲役3年となります。つまり、AさんからするとBさんがどのような行動をとっても自白したほうが有利となります(5年<10年、1年<3年)。Bさんにとっても同じく自白したほうが有利となる。結局、お互い自白しあって、懲役5年という結果がでます。

これは、全体として最適かといわれると必ずしもそうではありません。つまり、お互いが黙秘すれば、お互いが懲役3年となるはずです。しかし、お互いが自分の利益を最大化しようとすると、結果的にお互いが懲役5年となってしまいます。このように、お互いが自分の利益を最適化させると、全体としての利益は少なくなる、というのがこのモデルの教えるところです。

受験戦争への適用

囚人のジレンマ、環境問題をはじめ色々な問題に適用されます。ここでは、受験戦争と呼ばれる事象ついて適用をして考えてみたいと思います。学生は、志望校に行きたいと思って勉強するわけです。他の人が勉強していないなら、自分だけ勉強していれば、すんなりと志望校に合格できるはずです。

ところが、志望校には定員というものがあり、合格する人数に限りがあります。ので、受験生がどんなに勉強しても、結局合格できる人数は変わらない。とすると、受験生が合格したい、と考えて勉強すればするほど勉強時間の総数は増えるが、合格できる人は変わらない。これなら、全体としてみれば、みんなで勉強しない方が得なのに、結局、受験生は勉強しまくってしまう、という結果につながります。囚人のジレンマゲーム的な帰結ですな。

まとめ

ここまで、囚人のジレンマについてあてはめてみました。囚人ジレンマは現実社会を単純化したモデルであるため、現実の全ての側面を表しているわけではありません。とはいえ、モデルをあてはめることにより、現実で起こっていることを理解することができるので、そういった意味では有用です。また、ここでは受験勉強に励むことは悪いことのように書きましたが、人によってはその捉え方が違うということもあるでしょう。ただ、もし、受験戦争を悪いものとらえ、その改善を考えようという立場にたてばこのような分析も有効かという気はしています。

実はこれ、高校時代に勉強に追われて、大学に入ってこの話を勉強したときに、これで俺は受験勉強に追われていたんだ、、、とふと気づいたことなんで、少し文章にまとめてみました。

 

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